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「スポーツ・マネジメントとメガイベント」(高橋由明 他)

SM
高橋由明氏らによる「スポーツ・マネジメントとメガイベント Jリーグ・サッカーとアジアのメガスポーツ・イベント」は、各章をそれぞれの研究者とその論文から構成した点でユニークな一冊です。章立ては以下の通り:

1. スポーツの本質とスポーツ・マネジメントの研究対象と領域(高橋由明)
2. 日本のスポーツ・ビジネスとマネジメント(早川宏子)
3. プロサッカーのマネジメントにおける経済価値獲得のネットワーク(Harald Dolles, Sten Soderman)
4. アジアにおけるメガスポーツ・イベント社会、ビジネス、そして経営に及ぼす影響(Harald Dolles, Sten Soderman)
5. 2002年ワールド・カップ開催の日本の経験(Wolfram Mazenreiter)
6. 日本とインド間比較にみるメガスポーツ・イベントの経済への影響(C. Lakshman)
7. ウルトラマラソン・ワールド・カップ韓国大会と起業家精神(Siri Terjesen)
8. 中国によるアンブッシュ・マーケティング(Holger Preuss, Kai Gemeinder, Benoit Seguim)
9. 北京オリンピック・スポンサー企業のブランド訴求(Sten Soderman, Harald Dolles)

中には、実に興味深いデータの提示や仮説の検証・指摘も行われています。特に、2002年日韓W杯を題材にした#5での「メガイベント開催のメリット・利益とは何か?」という課題設定は秀逸です。メガイベントは一国経済において、例年ある消費支出や観光客数を当該イベントにシフトさせただけで、経年では目立った変化はないという点や、地方都市へのマクロ経済にも影響はほぼ無かった点、イベント周辺の雇用増加も非熟練労働者を短期的に発生させるだけであるという点の指摘などを行っており、イベント開催が依拠すべき理由に再考のヒントを与えてくれます。

他にも、参考になる理論の提示や参照元の記載、また根本的な論文の構成方法など、今後に役立つだろう要素が沢山あって、個人的には買っておいよかった一冊になりました。

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