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世界最高峰の自転車レースを知る —「ツール・ド・フランス」(山口和幸)


「ツール・ド・フランス」は言わずもがな世界最高峰の自転車ロードレースですが、毎年TV観戦して熟知しているよう人は多くないと思います。大方はそれをアームストロングというスター(後にその座から降りることとなりますが)の名前と、カラフルなジャージと一緒に覚えているだけでしょう。

そんな人達にとって、「ツール・ド・フランス」(山口和幸)は、その歴史を知るに最適の一冊です。著者は自転車専門誌「サイクルスポーツ」を経てフリーになった専門のライターで、25年以上ツールを取材しています。1903年に誕生し今年100周年となった壮大な歴史と、そこに生まれたドラマチックなストーリーに引き込まれると、ものの数時間で読めてしまいます。

特に印象に残ったのは、いかにツールがフランスにとっての誇りであるかでした。それは100年という歴史もさながら、以下の一節が端的に表しているように思います。

薬物使用を疑う報道は7連覇中にもあった。ツール・ド・フランスの最多勝記録に2勝を上乗せするようなアメリカ人は明らかにやり過ぎであり、ツール・ド・フランスの最多勝は「5」でなければならない、という天の声もある。アンティクルやイノーは永遠に英雄であり、メルクスは自転車競技史上最強の選手でなければならないからだ。そうでなければ、最後の総合優勝から7年も経過しているのにもかかわらず、関係者の証言を集めてアームストロングの薬物使用を実証するはずはない。

また、一つの国際スポーツイベントとして見ると、新聞社(ロト=現レキップ)が発行部数を伸ばすために仕掛けた大会であること、そして注目度が高くなるにつれて企業の宣伝媒体としてスポンサーシップやチーム参入、技術や商品のサプライが行われるようになりスケールしていったこと、そして海外チームの特別出場枠を設けるなど国際化を進めてマーケット拡大を志向した点は、多くの他スポーツと類似点があって興味深かったです。

23日に渡り行われる長距離のスポーツとしてはマラソンにも通じるところがあり、企業チームで出場してエースを中心にサポート選手やスタッフで構成される点はF1にも近く、スプリンター(ゴール前でのスパートが得意な選手)、アタッカー(集団から飛び出てゴールまで逃げ切るスタイルの選手)やクライマー(山岳での登りコースが得意な選手)など、レーサーにキャラクターがある点は、それ以外のスポーツにも通じます。自転車って、奥が深い!!

このVimeoでは、インフォグラフィックを使って分かりやすくツールを紹介しています。


実際のレースの映像ならこちらのYoutube。2013年のベストショットです。

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