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2014年1月 Monthly archive

SM
高橋由明氏らによる「スポーツ・マネジメントとメガイベント Jリーグ・サッカーとアジアのメガスポーツ・イベント」は、各章をそれぞれの研究者とその論文から構成した点でユニークな一冊です。章立ては以下の通り:

1. スポーツの本質とスポーツ・マネジメントの研究対象と領域(高橋由明)
2. 日本のスポーツ・ビジネスとマネジメント(早川宏子)
3. プロサッカーのマネジメントにおける経済価値獲得のネットワーク(Harald Dolles, Sten Soderman)
4. アジアにおけるメガスポーツ・イベント社会、ビジネス、そして経営に及ぼす影響(Harald Dolles, Sten Soderman)
5. 2002年ワールド・カップ開催の日本の経験(Wolfram Mazenreiter)
6. 日本とインド間比較にみるメガスポーツ・イベントの経済への影響(C. Lakshman)
7. ウルトラマラソン・ワールド・カップ韓国大会と起業家精神(Siri Terjesen)
8. 中国によるアンブッシュ・マーケティング(Holger Preuss, Kai Gemeinder, Benoit Seguim)
9. 北京オリンピック・スポンサー企業のブランド訴求(Sten Soderman, Harald Dolles)

中には、実に興味深いデータの提示や仮説の検証・指摘も行われています。特に、2002年日韓W杯を題材にした#5での「メガイベント開催のメリット・利益とは何か?」という課題設定は秀逸です。メガイベントは一国経済において、例年ある消費支出や観光客数を当該イベントにシフトさせただけで、経年では目立った変化はないという点や、地方都市へのマクロ経済にも影響はほぼ無かった点、イベント周辺の雇用増加も非熟練労働者を短期的に発生させるだけであるという点の指摘などを行っており、イベント開催が依拠すべき理由に再考のヒントを与えてくれます。

他にも、参考になる理論の提示や参照元の記載、また根本的な論文の構成方法など、今後に役立つだろう要素が沢山あって、個人的には買っておいよかった一冊になりました。

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TATE02
LondonのSouthwarkエリアにあるTate Modernは、Contemporary Artの常設・企画展示を行う美術館で、イギリスの多くの美術館がそうであるように、常設は無料で観ることができます。

取り扱う作品は、ドローイングから彫刻、インスタレーションまで様々で、MonetやPicassoなど有名どころも散見できます。中でも、Piet Mondrianの「Composition C (No.III) with Red, Yellow and Blue」を見られたのは嬉しかったし、一番印象に残ったのはDan Flavin「Untitled (to Don Judd, colorist)ですね(トップ画像)。Dan Flavinのこの作品、2010年ですがThe Gurdianで「アートとは何か?」というContemporary Artにつきものの議論の対象にもなっています。
The Gurdian | Call that art? No, Dan Flavin’s work is just simple light fittings, say EU experts

アートコレクションだけでなく、色々なサービス/イベントが提供されていることもTateの良さの一つです。Cafeが併設されていたり、Free Wifiが使えたり、至る所にCouchが置かれていたり。また、無料のガイドツアーも毎日定時で行われていて、とても気軽に参加できます。「展示ルームXXのガイドはXX時から。定刻にここに集合」との案内に、僕を含む10名くらいが集まって、ガイドを追いながら話を聞いたり、聞いていなかったりした緩やかなツアーでした。Londonに行くならTateは是非!

TATE01TateのRiver Entrance。River Thames沿いに建てられているので見つけやすいです。

TATE04ガイドツアーでTracey Emin「Hate and Power Can be a Terrible Thing」の説明中。アーティストの生い立ちやバックグラウンドを紹介してくれます。

TATE03Cafeに設置されていた「Bloomberg Connects Drawing Bar」というクリエイティブスペース。手元のスクリーンで描いたものが壁一面に映し出されるインタラクティブな装置で、様々なアイデアが投稿されることによって新しい発想を呼び起こすことを目指しているとのこと。

TATE05TateからMillennium Bridgeを渡ってSt Paul’s Cathedralへ。ライトアップが見事でした。

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WM
ロンドン観光についてはノープランだったのだけれど、CouchsurfingのホストであるInnaに聞くと、「私がいつも友達と行くコースがあるの!」とおすすめを紹介してもらったので、歩いてきました。

スタート地点はUndergroundのWestminster。そこからWestminster Bridgeを渡ってRiver Thamesの反対側へ行き、そのまま川沿いを東に進んでSouthwarkへ。Tate Modernも行きたいと伝えていたので、まさにこのコースがぴったり!となりました。後日談ですがこのLong walk、誰に話しても「いいコースだね」と言われます。やっぱりローカル在住は心強い!

Westminsterはロンドンらしさ満載の観光の定番スポットで、中世の街並みが残る見るに素晴らしいエリアなのですが、事前知識の無かった自分は、Undergroundから地上に上がった時に思わず声を漏らして感激してしまいました。なんて荘厳で華麗な街並みなんだろう!と。初めてのロンドン観光は、Westminsterを激しくおすすめします。もちろんTate Modernも良かったのですが、それはまた次回。

WM02ちょうど正午のBig Benと真っ赤なバス。この二階建てバスは市民の足としてどこでも走っていて、Brightonでもよく見かけます。

WM03South Bank辺りで開かれていたUsed book shop。道端での古本Shopは、Brightonでもありました。

WM06Southwark辺りのビル。この辺りは建設中の建物が多かったのが印象に残っています。これから開発されるのかな。

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IOC
IOC(International Olympic Comittee)は言わずもがなオリンピックの統括組織ですが、その組織の内情やIOC委員の職務について、自身の経験を基に自伝的に書かれている点で非常に価値の高い一冊です。

著者はIOC委員を長く努められた猪谷千春氏。約30年の任期中、10を超えるの夏季・冬期オリンピックの開催と1998年の長野オリンピック招致を経験、さらにIOC自体のマネジメント層とも言えるIOC理事を務め、前任のサマランチ氏と現職のロゲ氏といった両会長とも時を同じく活動されて、IOCを熟知する日本人の一人と言えます。

オリンピック関連の書籍では、「オリンピックと商業主義」(小川勝)は、スポーツライターの著者がオリンピックの歴史を遡り、1896年の近代オリンピック開催から現代まで、大会の特徴や商業面について細やかに紹介していますが、本書はより経験的で叙述的な内容で、IOC内部の雰囲気さえ伝わってくるかのようでした。

本書の中で触れられていて、きちんと目を通しておきたかったものの一つ目は、長野オリンピックの開会セレモニー。以下が長尺ですがYoutubeです。



長野オリンピックの開会セレモニーは、日本的な趣向を凝らした演出。善光寺の鐘の音で始まり、諏訪地方の踊りに続いて、行事と力士が登場。これについて本書ではその裏側も語っています。

実はこの演出に、IOCサイドからクレームが付いた。これは神事であって、宗教色を廃するというオリンピックの決まりに反するのではないかということだった。(略)「チックはどう思うか」何人ものIOC委員から意見を求められた。私はそのたび「日本の文化として理解してもらいたい」と答えた。日本らしい演出によって他国からのお客さんを迎えるのは素晴らしいことではないか。結局、この演出は黙認され、選手たちにはたいへん好評だった。

もう一つは、2012年オリンピック誘致の際の、ロンドン招致委員会のSeb Coe氏のスピーチだったのですが、いくら探しても出てこず。フルバージョンはなく、以下のVideoにすこし入っているだけ。ご存知の方、教えてください。。



これに関しても、招致を決定的なものとしたプレゼンテーションについて、本書では以下のように触れています。

二〇一二年大会の開催地に選ばれたロンドンの勝因は、なんといっても招致委員会長のセバスチャン・コー会長(その後、ロンドン・オリンピック組織委員会会長)のプレゼンテーション演説だろう。(略)スポーツが持つ力を賛美し感謝するとともに、ロンドンを選手のための大会にしたいという思いを伝えた。さらに狂気が猛威を振るう世界で、なぜスポーツが大事か、二一世紀になぜオリンピック思想が大事なのか、と訴えて大きな共感を集めた。

このプレゼンに関しては、関連記事も興味深いものが多いです。例えば:
WEB RONZA: ロンドン五輪、大逆転での招致を決めたもの
TOKYO Web: プレゼン制作のバーリー氏  ロンドン リオ 東京 招致請負人 3連勝

本書の言葉を借りれば、IOCはオリンピックを開催するだけの組織ではありません。「オリンピックムーブメントを推進すること。」この理念に向かって活動していくにあたり、Olympic Youth Games(OYG)という若年代向けのオリンッピックを新たに創設し、2010年にシンガポールで第1回を開催しています。これについては、個人的にも調べて行こうと思います。

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CS03
初めてのロンドン泊は、ちょっと趣向を変えてカウチサーフィンCouchsurfing(CS)を使ってみました。CSは非営利団体が運営するホスト/ゲスト探しのサイトで、ここに登録することで、自国で旅人をホストしたり、旅先でホストしてもらえる人を探すことができます。ちなみにサイトの利用も実際のホスティングも無料。

優良ホストは、プロフィールの内容やこれまでのゲストのPositive評価数・コメント内容、メッセージへの返信率、最終ログインの時期などから推測することができます。ただしCSのユーザーは基本的に旅人。「いま旅行中だから国内にいないよ、ごめん」ということが多々あるので簡単にはいきません。

その対応策で、ホストにリクエストする際に、同じ地域内のCSユーザーにリクエスト内容を公開する設定が可能です。これによって、希望していたホストがNGでも、「その日にちOKだよ」というホストが名乗りでてくれるケースがあり、僕の今回の場合がまさにそうでした。2人が名乗りでてくれた為、先に連絡をくれた方にAcceptの連絡をし、後者に「何かTroubleがあったら連絡するね」と一報しておきました。

今回お世話になったのは、ロンドン在住のInna。東欧の一国であるモルドバ出身で在ロンドン2年目、工場関係の調査等を行うビジネスアナリスト。外国人ながらハイスペックという彼女の存在は、世界一の多国籍都市とも呼ばれるロンドンを表しているようでした。もちろん旅人なので、EU圏をよく旅行していたという話や、各国カルチャーや宗教の話まで、実に楽しかったのを覚えています。(事前に禅と武士道を勉強しておいて良かった。)

僕は基本的に旅人が面白くて好きなのですが、それを差し引いてもCSの面白さは確かにあると感じていて、メリットを書き出してみました。

1. 宿泊代がタダ
CSのホストに寝床となるカウチ(ソファ)を提供してもらえるのであれば、ホテルやゲストハウス、あるいはAirbnbで発生するような宿泊代は必要ありません。もちろんサービスも設備はそれらに及びませんが、それ以上にホストの人柄や暖かみが感じられます。それにゲストであるので、お手伝いをしてホストの負担を減らしたり、もし何か良いものがあればお土産を持って行くのも喜ばれるでしょう。

2. 現地で友達ができる
CSでは、ホストは直接会うことのできる人だからこそ、ステイ中はとても頼りになる存在です。更に言えばその後も関係を続けることが可能で、次回またその場所に行くことがあれば連絡が取れるので、気が合えば長い人生、ずっと付き合っていられます。僕は先々イギリスにいるし、ロンドンも近いので今度は純粋にmeet upで連絡を取ると思います。

3. ローカルに詳しくなる
CSは人の家に泊まる訳なので、すべて立地がいいとは言えません。というかほとんどの場合は観光地でなく住宅地だと思います。その分、急ぎ足の観光では見落としてしまいそうな、普通の人々の暮らしを見て、真似ることができるようになります。例えばTaxiでなくBusに乗ってみたり、コーヒースタンドに寄ってみたり、小さなBakeryに入ってみたりと、そこに暮らしているかのようにすように過ごせます。

ただし、CSはかなりの確立で、サーフの質をホスト/ゲストの運が左右すると思います。僕がこれだけメリットを享受できたのも、ロンドンという大都市だったからでしょう。それでも、旅、そして人生は一期一会。是非機会があれば、ホストやゲストとして使ってみてください:)

CS02「今まではVegetarianだったけど、今年からViganになろうって決めたの」と話す彼女が毎日手作りしてくれた朝ご飯は、PorridgeとLemon Tea。Porridgeは穀物とブルーベリーの100%Vegge。

CS部屋の窓からの眺め。重厚感のある空模様。「ロンドンってだいたい曇りよ。もし晴れ間が見えたら、コートを持ってすぐに出かけなきゃ!」とInna。

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